自分が源泉

自分が源泉

変化の時代にこそ問われる「自分」

最近、改めて「自分が源泉」という言葉の意味について、深く考える機会がありました。

人工知能(AI)の急速な進化や、価値観・働き方の多様化に加えて、米国の関税政策が日本の製造業や貿易に与える影響も大きく取り上げられています。世界経済全体が揺らぎ、不確実性が高まる中、企業経営の舵取りはますます難しさを増しています。

経営者として、こうした変化にどう向き合うのか――。

正解の見えにくい時代だからこそ、自分自身の在り方や軸が、これまで以上に問われているように感じます。そんな中、ふと立ち返ったのが、10年前に経営者塾で出会った一つの言葉でした。

「自分が源泉」

時代がどう変わろうとも、自らの姿勢や考え方が、会社全体に波及する。経営という営みを通じて、その重みを日々実感しています。

「自分が源泉」との出会い──税理士法人創新会計とのご縁から

先日、長年お世話になっている顧問先である「税理士法人創新会計」様の創業50周年記念パーティーに参加させていただきました。

節目の年に2代目代表として就任されたのは、当社を長年ご担当いただいている中道先生。就任スピーチに耳を傾けながら、私自身も非常に感慨深い思いに包まれました。

創新会計とのご縁は、今から約10年前にさかのぼります。当時、私は創新会計が主催する経営者向けの塾に参加しており、その講義の中で、ある言葉と出会いました。

「企業の成長を望むなら、まず自分自身が変化と成長を止めてはいけない」
「自分が源泉であることを忘れるな」

この学びは、今もなお私の心に深く根づいており、日々の判断のよりどころ、そして座右の銘として大切にしています。そして、その塾でともに学んだのが、ほかでもない中道先生でした。

現在も、毎月の定例会議では会計数値の確認にとどまらず、経営の方向性に関する示唆もいただいており、私にとって大きな支えとなる存在です。このようなご縁に恵まれていることに、心より感謝しています。

企業が生き残るための条件:理念・人・挑戦

これまで20年以上にわたり経営に携わる中で、企業が持続的に成長し、生き残るために不可欠だと感じている要素が3つあります。

1. 明確な理念

「何のために事業をしているのか」。この問いに対する答えが明確であれば、どれほど時代が変わっても、企業の軸はぶれることがありません。理念は、あらゆる判断の根拠となり、社員を導く羅針盤でもあります。

2.「人」の力

企業は「人」の集合体です。どれだけテクノロジーが進化しても、最終的にお客様の心を動かすのは、「人」の熱意や誠実さだと感じています。人材こそが企業の最大の資産であり、成長の源泉です。

3. 継続的な挑戦

変化を恐れず、常に一歩を踏み出し続ける組織文化が、未来を切り拓きます。挑戦には失敗がつきものですが、それを学びや成長の糧として受け止められる企業は、逆境にも強く、しなやかです。

「人には寿命がある、でも企業は存続できる」という視点

この節目のタイミングで、改めて実感したことがあります。それは、「人には寿命がある一方で、企業は社会に必要とされ続ける限り永く存続し得る存在である」ということです。

私たち一人ひとりは、限られた時間の中で生きています。しかし、企業という存在は、時代ごとの社会課題やニーズ、お客様からの期待に応え続ける限り、姿や形を変えながらでも、その生命をつないでいくことができます。だからこそ、私はこう考えます。

「自分が源泉」という思いを原点に据え、社会のため、人のために価値を届け続ける企業であること――。それこそが、企業が永く存続していくための本質的な鍵だと。

変化を力に変える「自分」という起点

どれほど時代が移り変わろうとも、「自分を整えること」「自分を信じること」の大切さは変わりません。

10年前、ある塾で出会った「自分が源泉」という言葉は、今もなお、私の日々の判断や行動の出発点となっています。

企業においても、リーダーの言動が組織文化を形成し、それが成果となり、やがてお客様との信頼関係へとつながっていきます。

「自分を磨くことが、企業を磨くことにつながる」

この言葉を胸に、これからも人としてのあたたかさ経営者としての芯を大切にしながら、心の通った企業づくりを進めてまいります。