選び抜いた道に実りはある─2025年度上期の振り返しと未来戦略

歩んできた道に確かな意味を見いだすとき

2025年度も早いもので、気がつけば11月の終わりを迎えようとしています。家の近くを歩いていると、通り道に並ぶイチョウ並木が鮮やかに色づき、美しい青空とともに思わず一枚、写真を収めました。

社長ブログ

このタイミングで、社長として上期を振り返ると、ようやく「実り」を実感できる手応えを得ています。近年は、業界構造の変化、競争の激化、原材料コストの高騰、人員体制の再編など、いくつもの逆風が吹き荒れました。

その中で、事業の見直し、業務フローの最適化、バックオフィスの自動化など、多岐にわたる取り組みを進めてきました。こうした努力の積み重ねが徐々に形となり、結果として増収増益という成果へとつながりました。

数値で見る成果

まず、上期の業績概要は以下の通りです。

  • 売上高:前年同期比+1%
  • 営業利益:前年同期比+17%
  • 経常利益:前年同期比+15%
  • 粗利益率:改善(+16ポイント)

売上は微増にとどまったものの、利益面では二桁成長を達成しました。特に注目すべきは、利益の伸びが売上の伸びを大きく上回っている点です。これは単なる売上増加によるものではなく、

  • 利幅の高い商材の拡大
  • 不採算部門の縮小
  • 戦略的なリソース集中

といった取り組みの成果が表れた結果です。これまでの「売上を追う経営」から一歩進み、利益を確実に積み上げる企業体質へと変革が進んでいる証左と言えるでしょう。

採算部門強化と不採算部門の見直し

不採算部門の縮小

利幅の薄いスマホアクセサリー商品の取扱を縮小し、リソースの再配分を行いました。単なるコストカットではなく、長期的に競争力が見込めない、あるいは市場の伸びが鈍化している分野に対して、スピーディに撤退・縮小の判断を下しました。この判断は社内でも賛否が分かれましたが、持続可能な成長を目指すうえで欠かせない決断でした。結果として、会社全体の利益率改善に大きく寄与する要因となっています。

採算部門の伸長

一方で、近年の“推し活”需要の拡大に伴い、国内自社工房で製造するオリジナル推し活グッズやコンサートグッズの売上が継続的に伸びています。これらは採算性が高いため、積極的に新商品を投入し、ラインアップの強化を進めました。また、業務用ネックストラップ分野では、ホームページリニューアルによるユーザビリティー改善や、見積書自動発行の仕組み導入が奏功し、新規受注が大幅に増加しました。

これらの成長領域に人材を重点配置することで、

  • マーケティング強化
  • 営業戦略の見直し
  • プロダクト改善

などを一体的に推進し、顧客満足度の向上や継続率アップへとつなげることができました。このように、戦略的に「選択と集中」を実行したことが、事業全体の収益改善につながる大きな原動力となりました。

反省点と課題

今回の業績改善は、決して一朝一夕で生まれたものではありません。数年前から続けてきた事業内容の見直しや、経営のかじ取りの修正といった積み重ねが、ようやく数値として現れ始めた結果です。しかしながら、依然として以下のような反省点と課題が残っています。

  • SNSマーケティング施策が計画通りに進んでいない
  • 新商品のリリーススピードが十分とは言えない
  • 国内自社工房の製造キャパシティに制約がある

リソースが限られている以上、すべてを同時に強化することは難しい側面があります。それでも、この現状をどう打破し、次の成長につなげるかを考え抜くことこそ、経営者の重要な役割だと感じています。

下期の取り組み・成長戦略

下期に向けては、以下の3つを重点テーマとして掲げます。

顧客基盤の深耕

当社の売上は、新規顧客とリピーター顧客の割合がおよそ半々です。新規顧客の獲得力は当社の強みですが、今後はお客様への提供価値をさらに高め、リピート率の向上および客単価の底上げを図ります。そのために、CS(顧客満足)とUX(ユーザー体験)の両面で、サービス全体のブラッシュアップを進めていきます。

人材育成による課題解決

持続的な成長のためには、社員一人ひとりのレベルアップが不可欠です。現在の課題の多くは、現場力と実行力の強化によって改善スピードをさらに高められると考えています。教育体制の整備や業務支援の強化を通じ、組織としてのパフォーマンス向上を目指します。

デジタル活用のさらなる推進

業務効率化や分析力強化のため、デジタルツールの導入・活用を一段と進めます。意思決定のスピードと精度を高める仕組み作りを意識していきます。

組織は「進化」し続けるもの

今回の増収増益は、私たちが正しい方向へ歩みを進めている証の一つです。しかし、これはあくまで通過点であり、最終ゴールではありません。会社とは「人の集合体」であり、人の成長なくして企業の成長はありません。だからこそ、これからも現場の声を大切にしながら、組織をしなやかに進化させていきたいと考えています。

下期も新たなチャレンジが続きます。一人ひとりが自分の役割をあらためて見つめ直し、主体的に行動することで、さらに強く、しなやかな組織をともにつくっていきます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。